#13 タンポの歴史 2
〈カップのサイズ〉
ルイ・ロットに見られるように音孔に対してとても小さなカップが使われていました。これは恐らく音孔から出る音(息)を出来るだけスムーズに、と考えたからだと思います。これによってカップ内のタンポは淵の部分で音孔を塞ぐことになります。
タンポを合わせやすく、安定しやすいのはタンポの最も緩やかで外部の制約を受けない部分、つまりタンポを押さえている座金とカップの淵との間のスペースの中央部です。カップの淵や座金の締め付け部はタンポが変形しやすく不安定なのです。そのため、現在では音孔の大きさに対して余裕のあるカップのサイズとなってきたのでしょう。音抜けの悪くなることを恐れた考えも逆に抵抗感を得られるとの考えで受け入れられたそうです。
〈カップ内形状〉
カップは曲げ型と言う金型を使っています。0.5~0.6mmの金属板を雄型と雌型の間に挟みプレスします。強い力が無くても可能なので創成期では手作業で金型を組み合わせハンマーで叩いて整形していました。この方法はカップの外側の形状と内側の形状は相違型、つまり内側にも外側の形状が出るのでタンポを装着すると空洞が出来てしまいます。ルイ・ロットの時代のように封蝋で接着していた時代は問題無かったのですが、接着しない時代になるとタンポのおさまりが悪く、
使っているとその凹部にタンポが馴染み変形すると言う問題がでました。ヘルムート・ハンミッヒのように接着はしないが封蝋を流し込み、表面を平らに整形して薄いタンポを取り付けることもありました。初期のヤマハは同じ考えで石膏を使いました。更に後には金属板や樹脂の板を中敷きにする工夫も行われたのです。
現在ではカップ内を平らに、外側をR形状にする冶金鍛造という技術で改良されていきます。
〈タンポのサイズ〉
フェルトタンポは経時変化で縮んでくるとカップ内で動いてしまうことからカップの内径に対して少し大きめに作る事が必要でした。0.2mm~0.3mmほど大きめのタンポを使用してカップに押し込みます。出来るだけ平らにと注意しながら。しかし、どうしてもネジ止めすると大きな皴が出来ます。その場合、表面に水を塗ったタンポに熱した薄いヘラをあてます
(アイロン)。皴は取れるのですがブラダーを縮めてしまうので良い方法ではありません。現在は表面に水を湿らせブラダーを柔らかくしてしわを伸ばします。この方法の方が合わせやすく変化も小さいようです。
〈合わせやすいタンポとは?〉
タンポが合わせにくく、狂いやすいのはタンポの淵の部分が変形するからです。固定ネジで締め付けるとブラダーが引っ張られ、タンポの淵は角が丸くなり、音孔に当たる部分が皴になったり凹凸が現れます。タンポを選ぶ際も出来るだけ角が綺麗に出ているものを選びます。タンポを作る時もブラダーを張り過ぎない様に注意し、粘着力の弱い接着剤を使います。
当初はカップに接着する為にかなり薄いものが使われていました。2㎜~3㎜の深さに対し1.5㎜ほどのタンポを取り付けていたのです。そのためクラリネットのようにカップから飛び出した状態で接着すると当然カップからはみ出してしまいます。そのことからカップから出る量は0.3㎜~0.5㎜程度になったようです。後にドイツのヘルムートハンミッヒは接着はしないがカップ内の平滑化のために封蝋を充填し、薄いタンポを取り付けていました。現在でもプラスチックや金属の板をカップ内に入れて薄いタンポを取り付ける方法もあります。そしてタンポの芯はフェルトを使います。これは織フェルトとプレスフェルトという種類があります。クラリネットはプレスフェルト。フルートは一般的に織フェルトを使用しています。これは押さえた時のタッチ感の違いと楽器から出る音の違いの質があるからです。一部フルートでもプレスフェルトを使用しているモデルもありますがタンポの材質で楽器の響きが変わると言われています。
次回は10月28日(水)更新です。
引き続きタンポの歴史についてご紹介します。お楽しみに✨

