#12 タンポの歴史
<創成期>
タンポの歴史を説明する前にフルートの歴史に触れなければなりません。
その昔、ヴェーム式フルートが発明されたころ(1800年代~1900年代)楽器が木製から金属製に変化したころのタンポはカップ内に接着されていました。クラリネットやオーボエ、またピッコロもそうですが、木製のフルートは当然のようにそうしていました。
<止めネジの出現>
この頃から奏者たちが軽いタッチでキチンと音が出るようにと要求してきたようです。クラリネットなどは楽器が重く、キィも重いため強いタッチが必要となり、演奏法はフルートに比べ強く押さえて操作します。連動するメカニズムが少ないのでそれで演奏するのに問題を感じません。しかしフルートは軽く押さえて、反応よく音が出せないと困ります。その上に連動する部分が多いので精度の高いタンポの合わせが必要となるのです。またヴェーム式でもう一つ特筆すべきはカップの大きさ、音孔が大きくなってきたことに合わせタンポが大きくなってきましたので中央部を押さえる必要がありました。そこで止めネジの出現、となるのです。柔らかく大きなタンポは繊維の膨張によって中央部が盛り上がってくる現象となります。当初はカップ内に棒状のオネジを溶接し、タンポの押さえに座金を使っていました。それでタンポの中央部が浮いてくることは防げたのですが、座金をねじ込んでいくと最終的に傾いて座金は取り付けられます。タンポは片方を強く押さえられ、片方が浮き気味になってしまいます。それでは平均的な押さえにならずタンポは安定しません。そこで現在ではカップ内にはメネジを溶接し、オネジで座金を押さえる方法に変わりました。オネジの奥のネジ部は「逃がし」といって細い溝を付けます。こうすることによってオネジが最後の締め付けの際にはメネジの上面にぴったりと締め付けられタンポは安定するようになりました。
<構造>
タンポの構造はどうなっているのでしょう?
1.フェルト
2.ブラダー
3.台紙
フェルトを芯にしてブラダーを巻き台紙に接着しています。フェルトにブラダーを接着することは困難なので少し厚い紙を台紙としています。その昔はフィッシュスキンと言って魚の胃袋が使われていたのですが、現在では動物の内臓の革、子牛、子豚の膀胱の革を使っているのでブラダーと呼ばれています。多くの人が現在でもフィッシュスキンを使っていると信じている方が多いように思います。フェルトにはプレスフェルトと織フェルトの種類があり、フルートは織フェルトを使うことが多いようです。プレスフェルトはピアノのハンマーや蛍光ペンのペン先などに使われるもので糸を絡めて固めたものを言います。それに対し、織フェルトは布のように縦糸と横糸を編んで織っている物の事です。クラリネットやオーボエはプレスフェルトが多いようです。この違いは各楽器の演奏法にあるようです。クラリネットやオーボエは楽器が重く、メカニズムも重いため作動させるために強いバネが必要となり、強く握りしめるような奏法になります。フルートはと言うと、やっかいなことにとても軽いタッチで演奏されます。タンポが硬いとタンポノイズが出たり、音が硬くなったりすると言われています。柔和で温かい音が好まれる時代、織フェルトが一般的になったようです。
ご覧頂きありがとうございます。今回は「タンポの歴史」についてでした。
これから数週間にわたり、タンポについて様々な内容をご紹介していきます。
次回の投稿は10月14日(水)です。お楽しみに🍁

