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オーバーホール

2026.08.06New
リペアの小窓

Ⅴ オーバーホール


 今回は修理の基本であるオーバーホールについてまとめてみます。

皆さんはオーバーホールとはどのような内容かご存知でしょうか?タンポを全交換すること、定期的に行う大掛かりな修理とかでしょうか?一般的には正確に理解されないで使われていることが多いようです。言葉の意味としては全ての部分を新品同様(近く)にすることでしょうか。

 管体の凹みやキズはもちろん、キイのガタ、動作不良、全体の汚れ(変色)などはすべて修正し、可能な限り新品に近い状態に戻すことです。よくお客様から「先月オーバーホールしたばかり」と伺い、拝見すると汚れや傷はそのまま、タンポだけが新しくなっている、ということがよくあります。これは「タンポ交換」であってオーバーホールではありません。

 ここでおおまかに修理の内容をいくつか分けて考えてみましょう。


1.全体調整:タンポの息漏れ、バランスの調整

 楽器が新しく、部品の交換の不要な場合は調整のみで十分。しかしほとんど未使用で10年ほど経過、などと言う場合は部品交換が必要な場合もあります。

2.部分タンポ交換:破れたり汚れて必要な箇所のみ交換+調整

 破れたものを交換するのはもちろんですが、5年~10年使用して破れるものが出る場合、他の部分も交換時期にあると言えます。その場合は全タンポ交換を考えましょう。

3.全タンポ交換:メカをすべて分解(ノック抜き含む)、洗浄、磨き、組み立て後、タンポ、フェルト、コルクなど装着+調整

4.オーバーホール:全タンポ交換+凹み・傷修正、キイのガタ修正

 メッキ品は凹み、キズ、メッキ剥がれがある場合は再メッキを行う。


 以上が簡単に分類した種類となります。しかし必ずしもこのパターンでなければ、と言う事ではありません。例えば全体調整と管体の凹み直しとかと併用して使う事も可能です。

 一般的には4~5年に一度全タンポ交換、次のタンポ交換時期にはオーバーホールと考えるといいでしょう。全体調整は年に1度~2度が目安となります。

 定期的にメンテナンスをすることは長く良い状態を維持することに繋がり、却って費用も安くつくということをご理解ください。

 例えば100万円の楽器を修理代がもったいない、とか面倒だからと不具合を我慢していると機能的には少し音が出しにくい、キイの動きがスムーズでない、使いづらいという状態は100万円の価値が10%~20%減少していると考えられます。つまり10万円~20万円の価値を損なっていると言えるのです。万全のメンテナンスをすることで楽器の価値は100万円分を維持し常に安心して使用することができる、これがメンテナンスの効果と言えます。

 どうぞ皆さん、定期的なメンテナンスを心掛けましょう。



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