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#10 ~フルートの歴史③~

2026.05.27
フルートジャーナル

ヴェーム式フルート

テオバルト・ヴェーム、この名前をフルート関係者は忘れてはならないでしょう。現代フルート生みの親、ともいうべき人物で彼の唱えた多くの技法や考え方は今も世界のフルート製作者のバイブルになっていると言っても良いのです。彼は演奏家であり作曲者でもありました。現に多くの練習曲やフルートソロ曲を後世に残しています。
 当時の楽器は、音程が悪く、吹きづらい、音量の小さなものであったとされています。楽器は4つの部分に別れ、そのうちの一つの長さを4~6種類用意し、地域ごとのピッチに合わせ選んで使用していました。当然正確な音程は得られず、吹きづらい物でした。
彼の行った「発明」は、ひとつは管体内形状の変更でした。それまでのフルートは円錐管と言って歌口から下に行くに従って徐々に細くなっていたのですがこれをストレートにし、内径19.0mmとしたのです。そして音孔サイズを統一し、音程は孔の位置のみで決まることを考え出したのです。そしてもう一つの改良は半音ごとに孔を開け、閉じるためにキィを取り付けるようにしました。つまり今の形が完成したのです。この発明は1832年と言いますからもう190年も前の事ですが、驚くことにその後大きな改良はされずに現代にいたっていると言えるのです。
 他にもいろいろな分野で多くの発明をしているのですが、興味深いのはピアノの絃の張り方に彼の発明があるのです。グランドピアノの絃は長さを維持するために交差して張られていますがこれを初めて行ったのはヴェームだそうです。
当時の音楽の世界は今のように「世界標準ピッチ」と言うものが無く地域によって大きく異なっていました。今でもドイツのピッチは高く、イギリスやアメリカはロウピッチということは有名な話です。日本ではアメリカのヘインズ社の楽器が一時多く入ってきましたがピッチが低く使えないので頭部管を1cmほど切って使った時代もありました。現存する楽器もこのように時代によって、地域によってピッチが異なるものが多く必ずしも今使えるものとは限らないと言う状況です。
ドイツ人であるヴェームは残念ながら保守的とされるドイツの演奏家たちからこの新しい楽器を評価されずに、フランスで特許を取ります。ゴッドフロイとルイ・ロットが取得し製作を始めます。その後、イギリスでもルーダル・カートが取得し、のちにアメリカにも伝わりヘインズ社の製造が始まると言う歴史をたどります。ではドイツは、というとヴェーム式を採用しなかった彼らは独自に開発を進め、ドイツ式とも言うべき楽器を作り続け、いずれヴェーム式と融合し現在に至っています。ハンミッヒやメナートなど今でもその伝統を保ち独特の音質で存在をアピールしています。

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今回はヴェーム式フルートについてのご紹介でした。

次回は6月10日更新予定です。

どうぞお楽しみに🌠

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